Kiss xxx
〜Confession



昼休み、お弁当を食べ終えた私は屋上に向かった。
何故なら、そこにはいつもあの人がいるから。
屋上の扉を開けて中に入ると、あの人の背中が視界に入る。
校庭側の柵に両手をついて、どこか遠くを眺めているあの人は、桐山和雄クン。
町内で知らない人はいないくらい大きなお屋敷に住んでいるおぼっちゃんで、それなのに不良グループのボスをやっている不思議な人。
最初は、顔はキレイだけど冷たい感じで近寄り難いなって思ってたけど、
屋上に行くとよく顔を合わせて、何となく会話をしている内にすっかり仲良くなってしまった。
「ああ…か」
私が背後に近付いたのに気付いたのか、桐山クンは振り返って言った。
「最近よく会うね。ここんトコ毎日じゃない」
「そうだな…」
桐山クンと私は残念ながらクラスが違うので、前はたまにしか会えなかったけれど、
最近は毎日のように昼休みにココで桐山クンと会っている。
私としては嬉しいからいいんだけど。
二人で柵に両手をついて、ぼーっと校庭を眺めるのが好きなんだよね。
私の視線はこっそり桐山クンに向けられてるんだけど。
そんな事を考えていたら、いきなり突風が私達を襲った。
「きゃっ!?」
「!?」
時々こんな風に突風が吹く事があるけど、今日のは凄かったな。
「あれ? 桐山クン」
「どうした?」
「今の突風で髪型少し崩れちゃってる」
「…本当だ」
キチンとオールバックにされている桐山クンの髪型が、今の突風で少し乱れてしまっていた。
…もし良かったら直してくれないかな?」
「えっ? 私が? 桐山クンがいいなら…」
「構わない。直してくれ」
桐山クンは制服のポケットから櫛と整髪料を取り出すと、私に手渡した。
「桐山クン、しゃがんでくれないと上手く直せないよ」
「すまない…」
そう言って桐山クンは、何を思ったのかその場にちょこんと正座した。
こういう、ちょっと可愛いトコも好きなんだよね。
他の人は桐山クンのこんな一面、知らないんだろうなー。
ちょっと優越感に浸りながら、私は立て膝になって桐山クンの髪型を直し始めた。
オールバックなんてした事なくて慣れていないのと、いつも桐山クンがやってるみたいにキレイなオールバックにしなくては、
という妙な使命感と、桐山クンのキレイな顔が近くにあるという緊張感で、私の手が震える。
何とかキレイなオールバックに仕上げて、桐山クンに櫛と整髪料を返した。
「桐山クンがやるみたいにキレイにならなかったけど…」
私は持っていた鏡で仕上がりを確認してもらう。
「いや、これで構わない。ありがとう」
鏡を覗き込んだ後、桐山クンはそう言った。
「どういたしまして」
桐山クンにOKを貰えて安心した私は立ち上がろうとしたが、いきなり桐山クンに手を引っ張られて、
私は桐山クンの胸の中に倒れ込んでしまった。
「え? 何?」
パニくっている私に、桐山クンは更にパニくるような事をしてくれた。
何と、桐山クンが私にキスしてきたのだ。
気付いたらもう唇と唇が重なっていて、桐山クンのアップを見ながら私の頭の中は真っ白になっていった。
「桐山クン…どうして…」
今の出来事が信じられなくて、唇が離れた瞬間そう呟いてしまった。
「前からにこうしてみたいと思っていた…嫌だったかな?」
「そんな! 嫌なんかじゃないよ! だって私、桐山クンの事が…」
「あー、ボス何やってんのー?」
「好き」と言おうとした瞬間、誰かが口を挟む。
いいトコだったのに、ムカツク!
顔を上げると、他のファミリーのメンバーが勢揃いしていた。
「ボ、ボスごめん! 何か邪魔しちまったみたいだな」
沼井クンが慌てて謝る。
最初に声をかけてきたのは黒長クンのようだ。
「ボスってばの事抱っこしちゃってズルイなー。俺もを抱っこしたいなー、なんて」
誰が聞いても冗談としか取れないような言い方で、笹川クンがからかってくる。
そうしたら、桐山クンは怒ったような顔をして私をギュッと抱き締めると
は俺のだ」
と、キッパリハッキリ言ったのだ。
「あらあら、桐山クン遂にちゃんに告白したのね? どうなる事かと心配してたんだけど…上手くいったみたいね」
ヅキが私に視線を向けて、ウインクしてくる。
「…桐山クンのモノになりました」
私が真っ赤になりながらそう言うと、みんなは「おおーっ!」と一斉に声をあげる。
桐山クンの方をチラリと見ると、今まで見た事のない、優しい表情で私を見つめていた。
そして、今まで聞いた中で一番優しい口調で言った。
「これからは俺のオールバック、がやってくれるかな?」
「私で良ければ喜んでv」
私は桐山クンにギュッと抱きついて、その胸に顔を埋めた。
みんなが見ていたけど、そんなの気にならないくらい嬉しくて幸せだった。

+ + + + + +

ウチのボスのオールバック、本当は充が毎朝やってあげている、という設定になっているのですが、
今回はドリームなのでいつも自分でやっている、という設定にしました。
実は「ボスのオールバックを直す」というシチュエーションは、オールバックスキーのTさんへのサービスも込められてたりします。
え? こんなんじゃ全然サービスにならない? スミマセン…
私もボスにギュッと抱き締められて、「俺のだ」とか言われて見たいですなv
最初は、ボスだけキスをディープキスにして、最後もみんなが見てる前でキスしちゃう、というオチだったんですが、
「オールバックを直す権利」を貰った方が嬉しいかな〜、と思ってこっちのオチにしました。
ちょっとプロポーズっぽい言い回しにしてみたりv




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