Temperature



「ただいま」
「お帰り、和雄」

は夜も大分更けてからやって来た桐山を出迎える。

「また喧嘩して来たの?」
「ああ」
桐山が学生服の上着を脱ぎながら言う。

は桐山からその学生服を受け取り、ハンガーにかけながら、溜息をついて、言った。
「こんな遅くになって来た、って事は、今日もうちに泊まるの?」
「ああ、そのつもりだが」

桐山は悪びれる事なく言った。
はまた溜息をついた。

「何か、和雄のお家の人に申し訳ないよ」
「父なら仕事の関係で高松まで行っているから、大丈夫だ」

それだけ言うと、桐山は手を伸ばして、の頬に、そっと触れた。
「和雄、手、冷たい」
「ああ、すまない。外は寒かったから」
はその桐山の手に、自分の手を重ね、微笑した。
「風邪引いちゃうといけないから、早くお風呂入って寝たほうがいいよ」
「そうだな」
桐山は少し目を伏せてそう言ってから、不意打ちのように、に口付けた。
桐山の唇も、冷たかった。
すぐに、離れたけれど。

「ちょっと、いきなり...」
「嫌だったのか?」

桐山が少し上目使いにを見上げて、訊いた。
は顔を紅くして、俯いた。
「...嫌ではない、けど」

桐山はそんなを見て、すっと目を細めた。
「それなら、後で風呂から上がった時にでも、続きを」

はまた顔を紅くした。

は一人で、自分の部屋のベットにもぐり、桐山が出てくるのを、待っていた。
は事情があって、一人暮らしをしている。
だから当然、予備の布団もないので、桐山が泊まるときは、一緒の布団で眠る。
はぶるっと身体を震わせた。
寒い...

は桐山が来る前に風呂には入っていたのだが、桐山を待っている間にすっかり湯冷めしてしまった。
暖房も効き始めで、なかなか部屋は暖かくならなかった。
和雄じゃなくて、私が風邪引いちゃいそうだよ...
そうが思って居た時だった。

、まだ、起きているか」
桐山のおっとりとした声が聞こえた。
は、はっとして飛び起きた。

風呂上りで、軽く湿った髪を後ろに撫で付けた感じの桐山が、部屋に入って来た。
そのまま、の寝ているベットの側まで歩いて来る。
、入っても、いいかな」
「...どうぞ」
がベットの脇を空けると、桐山が布団を捲って、の隣に身体を横たえた。
布団の中で、桐山は、そっとの背中に手を回した。
、身体が冷えてしまっているな」

の背中を撫でながら、桐山がぽつりと言った。
「うん、ちょっと湯冷めしちゃったみたいで」
がやはり顔を紅くしながらそう言うと、桐山は、を抱く手に、ぐっと力を篭めた。
「―和雄?」
少しびっくりして、は桐山の顔を見た。
桐山は相変わらずの静かな表情でを見ていたが、やがて、小さな声で言った。
「俺が、を温める」
「−え?」

次の瞬間には
再び桐山の唇がの唇を、塞いでいた。

「ん...」
なかなか桐山は開放してくれなかった。
息苦しさに、は桐山の胸を押して逃れようとした。

やっと解放してくれた。
安心したのも束の間、今度は桐山の手が、のパジャマを捲り上げて侵入して来た。
温かい手が、冷えたの胸の膨らみにそっと触れた。
「あ...」
すぐに桐山が、の胸に顔を埋めてきた。
片手で優しく揉みながら、突起を舌でなぞる。
「...んん...」
は敏感な箇所に愛撫を受けて、思わず声を洩らした。

...」
桐山の声が、少し上擦っている様に聞こえた。
桐山が何時の間にか、の身体の上に居た。
「和雄、まさか」
は少し息を乱しながら、桐山を見上げた。
無表情の顔。
しかしその頬はほんのり紅く染まっていた。
押し付けられた肌に感じる違和感に、は顔をまた紅くした。
「...したいの?」
「ああ、が嫌でなければ」
表情を変えずにそう淡々と言われると、少し悲しいものがあるけれど。

「いいよ、和雄」
桐山が泊まりに来る時は、かなりの割合でそんな雰囲気になってしまうので、覚悟はしていた。

は桐山の背にそっと手を回して撫でた。
風呂から出たばかりの桐山の肌は、温かかった。
「和雄、あったかい」
「そうか」
桐山はそう言うと、またに口付けた。
そのまま、
桐山はの首筋から胸元へと、徐々に愛撫する箇所を下へとずらして行った。

「んん...」
桐山に内側を開かれて、は思わず声を洩らした。
「ここは、温かいな」
桐山の指が、つぷっと音を立てて、の内部に侵入して来た。
内側を、桐山の指がゆっくりと掻き回した。
「...ん...」
その度に、は自分の中全てが掻き回されているような錯覚を起こした。
湿った音がして来た。
「かず...」
「これ位濡れていれば、大丈夫かな」
桐山が、いつもと変わらない声でそう言うので、は恥ずかしくなって来た。
しかし桐山の指が引き抜かれると、途端に背筋にぞくりと快感が走って、そんな考えを持つ余裕も、なくなってしまう。
「ふ...」

が切なげに桐山を見上げると、桐山がの頬に、手を伸ばして触れた。
「温かく、なってきたな」
そう言うと、桐山は少し目を細めた。


桐山が、またに口付けた。
はもう半ばぼんやりとしながら、その桐山に応えた。

桐山はに口付けたまま、自分の下腹部のものを、の下肢にあてがった。
その感触に、は少し鼓動が早まるのを感じた。

桐山のそれは、とても熱くて大きかった。
恥ずかしくて、いつも直視する事が出来ずに居た。
今は、布団の中だから、安心していた。

「...、いいか?」
唇を離すと、桐山が少し掠れた様な声で、息を乱しながら言った。

恥ずかしいけれど、身体が次の刺激を求めている事は確かで。
は桐山から目を逸らしながら、小さな声で言った。
「いいよ...和雄...」

恥らうを見て、また桐山は少し目を細めた。
桐山はの火照った頬を少し撫でると、ゆっくりと腰を進めて行った。
「あ...」

熱くて堅いものに侵食されていく感覚に、は声を上げた。
思わず締め付けた。

途端に甘い痺れが全身を駆け巡った。
「かず...おっ...」
は桐山の背中をぎゅっと抱きしめた。
...」
桐山が少し辛そうな様子で、の名前を呼んだ。
の中で、桐山がびくりと震えた。
「ん...」
再び襲ってくる快感に、は身震いした。

「和雄...気持ち良い?」
「ああ」
は、どうだ?」
「うん、...気持ちいい、よ」
「そうか...」
桐山は、そう言うと、少しの間、目を閉じていた。
も目を閉じた。

荒々しく快感を求め合う事もなく、ただひとつとなっている。
そんなセックスも悪くない、と以前桐山はに言った。

もうすっかりの体温は、桐山と同じ位高くなっていた。


桐山が目を開けて、を見た。
「もう、動いても、いいかな」

は頷いた。
ただ抱き合っているのもいいけれど、やはりそれだけでは物足りない気がしたのも事実。

桐山が、ゆっくりと腰を動かし始めた。
は悲鳴に似た声を洩らし、桐山に抱きついた。
桐山が動く度に、強い痺れがの身体を走った。
甘い快感を伴って。

は桐山を抱きしめた。
桐山の息が乱れ、時折聞こえる詰まった様な声が、桐山もまた感じているのだと言う事を示して居る様に思われた。

...っ...」

いつもより少し高い声で、呼ばれて。
次の瞬間には、熱い衝撃を内側に感じて。

はまた声を上げた。
頭に段々と霞がかかった様になり、そのまま、意識を手放した。

次に意識が戻った時、
の身体には布団がかけられていた。
その隣に、桐山が眠っていた。

「和雄...」
規則正しく寝息を立てている桐山の姿を見て、は微笑した。

桐山の胸に顔を寄せた。
もうすっかり体温は下がってしまっている。
いつもと同じ。
どこかひんやりとした、桐山の身体。

「今は、私の方が、あったかいね」

そっと桐山の胸に手を当て、は小さな声で言った。
「ありがとう、和雄」

そうして、すぐにまたは目を閉じた。

+ + + + + +

ネット上にあまりなく、レアでなかなか見る事の出来ない小説版ボスの裏夢を月乃宮さんからいただきましたv
個人的にいただいたのですっごい嬉しかったです!
いただいてばっかりでスミマセン…落ち着いたら何かお返ししたいです。
「桐山の居場所を作ってくれる主人公が書きたかったので…」との事ですが、月乃宮さんの描かれるヒロインは優しくて
ボスの事ちゃんと理解している「桐山が最後に帰る安らぎの場所」に相応しい女の子だと思います。
ウチのエロい事ばっか考えてる(もちろん愛はあるけど)ヒロインとはえらい違いや…(苦笑)

ちょうど日記で「寒い夜は充やボスに温めてもらいたい」と書いた後だったので、何だか嬉しかったです。
それに、小説版ボスの裏夢好きなんだけど皆無に等しいし、他の人が書いたボスの裏夢を見たかったので…
私の中で、小説版ボスの夢と言えば月乃宮さんなので、その月乃宮さんが書いて下さった物だから余計に嬉しいやら
興奮するやらで…
私もこんな風にボスに温めてもらいたい…vvv
私なんかにこんなステキな夢を下さってどうもありがとうございました。
これからもたくさんステキなボス夢を書いて下さいね!



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