路地裏



すっかり日も沈んだ帰り道、充と桐山は肩を並べて歩いていた。

それにしても、今日は驚いたな。
ボスが女装してチョコ渡しに来るんだもん。
ヅキの入れ知恵みたいだけど、ボス可愛かったし、こういうのならいいかな?
なんて…あーもう! 何考えてんだ、俺!
それじゃボスの威厳も何もあったもんじゃないじゃないか!
ここは一つビシッと…言わなきゃ…

「ボス」
「何だ?」
「今更言うのもなんだけど、何で女装したまんまなのさ」
「着替えるのが面倒だったから」
屋上で充にチョコを渡した時から今もずっと、桐山は女装したままの格好でいたのだ。
自分の今の格好に何の疑問も感じていないのか、桐山はあっさりと言ってのける。
「面倒って…もし誰かに見付かったらどうするのさ」
「この時間なら大丈夫だろう。そんなに気になるならさっさと帰るぞ」
「あ…うん」
歩くスピードを速めた桐山においていかれないように、充もそれに合わせる。

まったく…ボスも何考えてんだか。
でも…ホント、こんなカッコしてると女の子にしか見えないな。

チラリと横を見ると、自分の肩くらいまでしか身長がない桐山が目に映る。
サラサラの黒髪が風に靡いて、ほんのり桃色の唇に張り付く。
それを鬱陶しそうに指で払う仕草は、まさに女の子のそれだった。
思わず足を止めて見惚れる充に気付かずに、桐山はどんどんと先に歩いていく。
風に煽られたスカートが少し捲れて、見えそで見えないチラリズムが、充の理性を破壊した。
充は桐山の手首を掴むと、そのままビルとビルの隙間の狭い路地裏へと連れ込んだ。
「充?」
桐山の問いかけにも応えず、充はゴミの山を足で掻き分けながら、更に奥へと進む。
路地裏のちょうど中間あたりに来ると、掴んでいた手を離し、桐山を軽く壁へと突き飛ばした。
壁に向き合うように突き飛ばされた桐山は何事かと振り向こうとしたその時、いきなり充に後ろから抱き締められ、
一瞬体を硬直させた。
「充、一体どうしたんだ」
「あんた見てたらムラムラしてきた」
ぐりぐりとおしりに押し付けられる充の股間が、欲情を忠実に表していた。
充の両手がセーラー服の裾から滑り込み、桐山の胸をまさぐり始める。
「あ、あれ?」
いつもと違う手触りを不思議に思った充は、桐山の上着を捲り上げた。
「ボス…何でブラジャーつけてんの!?」
桐山の胸元には、レースをあしらった薄いピンク色の可愛らしいブラジャーが装着されていた。
「月岡が、女装する時は下着も女物にしなくてはいけないと言っていたから。充がどんな下着が好みか分からなかったから、
月岡に適当に見繕って貰ったんだが…これではダメかな?」
「ダ、ダメじゃないよ! むしろオッケー!!」
思わずグッ、と親指を立ててしまう充。
「そうか。充はこういう下着が好みなのか…」
「え、じゃあさ、もしかして下も?」
コクン、と無言で頷く桐山。
「め、め、捲っても、いい?」
「…充、何か鼻息荒い」
「あ、ゴメン…妙にコーフンしちゃって」
「……いいよ。捲っても」
「それじゃ、失礼します…」
充はスカートの裾を掴むと、それをゆっくりと持ち上げていった。
ブラジャーとお揃いのピンクの下着が、桐山のおしりを包んでいる。
小さい女性物の所為か、前方は桐山の膨張したペニスの形がくっきりと浮き出ており、
上端からはペニスの先端部分が少しだけ顔を覗かせていた。
「ボス、はみチンしてる〜。ていうか、まだ何もしてないのにビンビンじゃん」
充が股間を軽く鷲掴みすると、桐山は体をビクッと震わせた。
「もしかして、着替えるのが面倒だったからじゃなくて、こういうの期待してた?」
「……」
「何も言わないって事は、期待してたって思っていいよね」
口の端を軽く上げて、桐山の耳元に唇を寄せる。
「スケベ」
充が低い声でそう囁いた瞬間、桐山の体の中を、何かがゾクゾクッと駆け抜けていった。
充はそれに気付いていないようだったが。
「エッチな事考えて、体の方はすっかり出来上がってたんだ。ま、期待してるなら、それに応えてあげなきゃね」
桐山の顔だけ自分の方へ向けさせ荒々しく唇を重ねる。
左手をブラジャーの中に入れ、既に堅くなっている乳首を摘んだり、捻ったりして指で弄ぶ。
右手は下着の上から桐山のペニスを優しく撫でている。
舌と舌を絡ませる音が、シンと静まり返った路地裏に、やけに大きな音で響いていた。
焦らすような愛撫に耐え切れなくなったのか、桐山は充の右手を掴むと下着の中へ導いた。
「自分からそんな事するなんて…あんたってホントスケベだね」
ワザと強めにペニスをキュッと握ると、先端からジワリと先走りが滴り落ちる。
「何? 直にチ×ポ扱いて欲しかったの? こうやって、シコシコってして欲しかったの?」
充が先走りを指によく絡ませてペニスを上下に扱くと、桐山は小さく声をあげた。
「すっごいベトベトじゃん…おもらししたみたい」
「あっ…ああ…」
先端の裏側を指で擽るように弄られて、桐山の体はガクガクと震えていた。
「パンツ汚れちゃうから、脱ぎ脱ぎしよっか」
桐山の下着を両手で掴むと、充はそれを一気に足首辺りまでずり下ろした。
「壁に手、ついて。おしり俺に突き出して」
桐山は言われた通り壁に両手をつき、おしりを突き出してチラリと後ろを振り返った。
「ちょっと濡らしとこうな」
しゃがんだままの体勢で、充は桐山のおしりを左右に広げると、双丘に埋もれていたアヌスにそっと舌を這わせる。
「や…あ…」
「あんたって、ここ舐められるの好きだよねー。それなら、これはどう?」
「んっ! やぁっ…」
充の舌がアヌスの中にムリヤリ侵入してくると、はしたない声をあげて身を捩らせる桐山。
先端から先走りがポタポタと滴り落ちて地面に染みを作っている。
「そろそろいいかな…俺ももう我慢出来ないよ」
充は立ち上がりズボンのファスナーを下ろすと、トランクスの中からペニスを取り出した。
十分に膨張したそれに先走りの汁をヌルヌルと塗り付けると、桐山のアヌスにあてがう。
「入れるよ…」
「ふぁ…あ…ん…」
腰を押し進めると、ズプズプとペニスがアヌスに飲み込まれていく。
「ほーら、俺のチ×ポがボスの中に全部入っちゃった」
ズボンとトランクスを膝まで下ろし、桐山の腰を両手でしっかりと掴むと、充は腰を動かし始めた。
桐山の嬌声と充が荒く息を吐く音。
パン、パン、と充が腰を桐山のおしりに打ちつける音。
ピチ、ピチ、と二人の陰嚢がぶつかり合う音。
淫猥な音が混じりあって二人の耳を刺激する。
しばらくすると、その音の中にガチャ、とドアを開けるような音が混じった。
「うそ、やだっ! 何あれっ!?」
上方から女性の声が聞こえ、二人がそちらに視線を向けると、少し離れた所にある非常階段に女性の姿があった。
「どうしたの?」
「あ、あれ…」
「マジ!? あの子達、こんなトコでエッチしてる〜」
「何? 何? 私にも見せてー!」
会社の制服に身を包んだOLらしき女性が3、4人バタバタッとドアから出てきて、こちらを指差し何やら囁き合っている。
「充…」
「わりぃ、俺止められそうにないからこのまま続行な」
不安そうな表情で振り向く桐山に、無情にも投げかけられる充の一言。
「充!」
「大丈夫だよ。離れてるからそんなにハッキリとは見えないだろうし、面白がって見てるから警察呼んだりはしないよ。
あんただって、このまま止められたら辛いんじゃないの?」
「でも…」
「それに、あんたは今女の子のカッコしてるからバレないって、な?」
渋る桐山をよそに、充は再び腰を動かし始めた。
「やだぁ…あの二人、見られてるの気付いてるのに続けてる〜」
「もしかして、露出狂?」
OL達の罵倒が耳に入る度に、桐山は自分の体がジワジワと火照っていくのを感じていた。
「どうしちゃったの? 何かさっきからすごい締め付けじゃん」
「充、やっぱり…」
「止めるの? こんなに感じてるのに?」
充がワザと大袈裟に腰を打ちつけると、いや〜んvとOL達から黄色い悲鳴があがる。
「見られてコーフンしてるんだろ。あんたの中、きゅうきゅうだよ」
「そんな…」
「知らなかったな。あんたがそんな変態だったなんて。ほら…変な意地張ってないでイッちゃいな!」
「ああっ! うあ…」
腰の動きにラストスパートがかかると、躊躇っていた桐山も吹っ切れたのか、声をあげて押し寄せる快楽に身を任せている。
「あー…マジ締まるぅ…チ×ポ気持ちいい〜」
「ハァッ…んん…」
「もう出ちゃいそ…う…ああ…」
「充…中は…ダメだ…」
充の様子が変わってきたのを感じ取った桐山は何とかして声を出すが、桐山自身も絶頂が近いのか、か細い声しか出なかった。
「もう…ダメ!」
充は桐山の体をギュッと抱き締めると、ペニスを引き抜かずに最奥へと押し込んだ。
「出ちゃう、出ちゃうぅ…あっ…ああ…」
充の体がブルブルッと震え、同時に桐山の体内に熱い液体が流れ込んで来た。
「ごめん…出ちゃった…中で出しちゃった…」
ぐったりと桐山の背中に凭れ掛かり、耳元で子供みたいな舌ったらずな声で囁かれ、
それが刺激となって桐山もペニスから精液を吐き出した。
「ああ…みつ…る…」
桐山の放出した精液が壁に飛び散っていく。
「みんなが見てる前で、トコロテン射精しちゃったね」
見られているという事を思い出し、OL達がいた方に視線を向けると、彼女等は慌てて元来たドアの中に逃げていった。
充がゆっくりとペニスを引き抜くと、桐山はその場に膝をついてぐったりと壁に凭れ掛かった。
アヌスからは、ボタボタとだらしなく精液が垂れ流されていた。

「いやー…それにしても昨日はすごい事しちゃったなあ…」
学校の屋上でゴロンと横になりながら充は呟いた。
「ま、見られたのがウチの学校の生徒じゃなくて良かったよ」
昨日の事を思い出すと、自然と顔が緩んでくる。
桐山の、ちょっとマゾッ気あるような意外な一面が見れた事と、
セックスを見られている事に自分も結構興奮していたのが驚きだった。
「こんな所にいたのか」
「ボ、ボス!?」
突然声をかけられ、充は慌てて跳び起きた。
「あー…ビックリした…心臓バクバクいってるよー…」
「随分とニヤニヤしていたな。昨日の事でも考えていたのか?」
「う…鋭いなあ、ボスは」
「俺は下着を汚してしまって、何も穿かずに帰る事になって散々だったよ」
「でも、それがまたコーフンしちゃったんじゃないの〜?」
「……」
桐山の頬が、心なしか赤く染まっているような気がする。

あれ? 冗談のつもりだったのに、ボスってばマジッすか?
何か俺達、まだ中学生なのにイケナイ道に目覚めちゃった?

「それより…チョコは食べたか?」
桐山が話を反らすように口を開く。
「へ? あ、ああ…食べたよ。メチャクチャ美味しかった! やっぱあれ、高級なヤツ?」
「高級かどうかは分からないが…俺が作ったんだ。そうか、美味しかったか。なら、いいんだ」
「そう言えば、作ったって言ってたよな…ホントに手作りだったんだ。
何か嬉しいなあ。こりゃ、ホワイトデーのお返しは奮発しないとな。ボス、どんなお菓子が好き?」
「お返しは…充のホワイトチョコでいいよ」
「は? 俺のホワイトチョコ? 俺、お菓子は作れないぜ〜…って、あ…」
『ホワイトチョコ』の意味に気付き、思わず顔が赤くなる。
「月岡が、バレンタインのお返しは3倍返しが相場だと言っていたが…」
「3倍…ハハ…が、頑張りマス…」
桐山にじーっと見つめられ、苦笑いしてしまう充。
そんな充に、桐山は顔を近付けてそっと唇を重ねた。
「……期待しているよ」
もう一度軽く唇を重ねて、桐山は立ち上がるとそのまま去っていってしまった。
「マジに頑張ろ」
唇を指でそっと押さえながら、充は決意も新たに呟くのだった。

+ + + + + +

空橋さん、勝手に続き考えてSS書いて押し付けてスミマセンでした(汗)
ちなみに、ステキ裏画像にある女装ボスのCGは、このSSを読んだ空橋さんからいただいた物なのです。
勝手に続きを書いた挙句へタレSSを押し付けた私に、あんなステキなボスを下さるなんて…空橋さん、愛してます(本気)
サイト復帰を心からお待ちしております。
本当はこのSSは空橋さんのサイトのBR裏ページに掲載される予定なのですが、いろいろお忙しいみたいなので、
こちらで一時掲載させていただきました。スミマセン…

充がボスの事を「あんた」と呼んでいるのは、空橋さんの書かれる充がそうなので合わせてみたのですが、
ボスの事「あんた」って呼ぶ充、書いててメチャクチャ萌えましたvvv
エッチの時は強気と言うか、立場上と言うか…漢気10割増って感じでv
ボスが女物の下着を身に付けているのは「女装少年は下着も女物」という私の主義(笑)です。女装美少年萌え!
私も充とボスがエッチしてるトコ覗きたいですね(笑)
何か充がサドでボスがマゾっぽくなってしまいましたが、あんまり気にしないで下さいませ。
壁紙、本当は「廃墟」ってタイトルなんですが、路地裏っぽく見えるので使ってみました。
路地裏っぽく見えますか? 
「路地裏」ってイメージじゃないな〜、って思われたらゴメンナサイ。



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