2003年１月１日、AM3：30。
充と桐山は学校に忍び込み、屋上に来ていた。
二人で年越しをする為に、大晦日の夜遅くに待ち合わせて地元の神社に行き、出店で買った甘酒を飲みながら
日付が変わるのを待って初詣を済ませて、初日の出を見る為にここに来たのだ。
コンクリートの床に直接座るのは冷たいので、コンビニで買ってきたビニールシートをひいて、そこに二人で腰を下ろす。
「頑張って日の出まで起きてような！」
「ああ」
充は手に息をハァッと吹きかけながら桐山を見ると、何となく寒がっているように見えた。
「ボス、寒くない？ 大丈夫？」
「大丈夫だ」
桐山はそう返事をするが、これから数時間はこのままで過ごすのだ。
今は寒くなくても、段々冷えてくるに違いない。
充は少し考えた後、自分のコートのボタンを外して前を開き、桐山に声をかけた。
「コートん中入る？ そうすればボスも俺もあったかいよ？」
しばらくじっと充を見つめていた桐山だが、無言で充のコートの中に入ってきた。
やはり寒かったのか、桐山の方からぴったりと身を寄せてくる。
「こうすれば寒くないだろ？」
「ん…」
桐山は充の腰に腕を回し、胸に顔を埋めた。
何だかいつもより甘えてくる桐山を、充は愛しそうに見つめていたが、もっと密着するように桐山を片手でグッと抱き寄せると、
額に軽くキスをした。
「充…」
額に唇が触れたのに気付き、桐山が顔をあげると充と目が合った。
しばらく無言で見つめ合った後、今度は桐山の方から充の唇に自分の唇を重ねてきた。
一度触れ合うだけのキスをして、桐山は充の首に両手を回し舌を口内に侵入させてきた。
ちゅく、ちゅくと音が立つくらいに濃厚に舌を絡ませる。
唇を離すと、二人の唇を繋ぐ唾液の糸が闇の中でキラキラと輝いていた。
桐山の積極的な行動に意表を突かれ、されるがままになっている充の下半身に桐山の手が伸びる。
ズボンのファスナーを下ろし、そこから手を滑り込ませようとする。
「何？ ボス、俺のチ×ポ触りたいの？」
充の問いかけに無言で頷く桐山。
「エッチ…いいよ、ほら。触ってごらん」
その言葉を聞いて、桐山は充の下着の中に手を入れてペニスにそっと触れた。
「あ…」
「どうしたの？ ボス」
「もう大きくなってる」
桐山が充のズボンと下着を少しずらすと、今まで押さえつけられていたペニスが直立した。
「ボスが大胆だから、俺何かコーフンしてきちゃって。そういうボスはどうなんだよ？」
ズボンの上から股間を撫で上げると、固く熱を持った何かを掌に感じる。
充は桐山のファスナーを下ろして下着の中に手を入れ直にペニスに触れると、指先に滑りを感じた。
「何だよ。ボスだってまだキスしかしてないのにおっきくなってんじゃん。しかも濡れてる」
ニヤニヤ笑いながら充が桐山の顔を覗きこむと、桐山は微かだが頬を染めて目線を逸らした。
「日の出まで時間あるし…それまで二人で気持ち良くなろっか」
充に耳元でそう囁かれ、桐山の頬は更に赤さを増した。
「ん…んっ…」
「…っう…ん」
二人はお互いのペニスを弄りながら舌を絡ませ合った。
先程はまだ濡れていなかった充のペニスも先端から透明な液体を垂れ流し始め、桐山のペニスは全体がヌルヌルになる程に
蜜が滴っている。
充は限界に近い桐山を一旦イカせる為に、今までよりも少し強めにペニスを扱いた。
「アァッ!!」
充のペニスを扱く桐山の手が止まり、充に与えられる快楽を必死に受け止めていた。
「ボス、とりあえず一回出しなよ。辛いだろ？」
桐山は無言で何度も首を立てに振りながら、達する為に全神経をペニスに集中させる。
「充…うっ…ん…イク…っんん!!」
ビクン！ と一度大きく跳ねて、桐山は充の掌に熱を放った。
「うわ、すごい…ボス、こんなにいっぱい出たよ？」
ハァハァと荒く息を吐く桐山の目の前で手を開き、今放ったばかりの精液を見せつけた。
「……すまない」
桐山は充の手を掴むと、自分の精液をペロペロと舐め始めた。
「あ、いいよ、舐めなくて。ティッシュで拭くから…」
充にそう言われても、桐山はそのまま充の掌を舐め続け、充がティッシュをコートの内ポケットから取り出すまでに
キレイにしてしまった。
「ごめんな…自分の精液なんて嫌だったろ」
「嫌じゃないよ」
申し訳なさそうな顔で、キレイな方の手で桐山の頭をナデナデする充に、桐山はきっぱりとそう言った。
「それより、今度は充を…」
そう言いながら桐山は充の股間に顔を埋めた。
充のペニス全体に何度も何度も口付ける。
両手でそっとペニスの根元を握ると、先端をパク、と口に咥えた。
口の中で舌を使って先端の括れや裏筋を丹念に愛撫する。
「はぅ…んっ…あ…ボスの口気持ちいいっ…」
充の喘ぎ声が耳に入った桐山は、充のペニスを咥えたまま視線を上に向ける。
「あ、もう…そんな可愛い顔見せられたら…ふぅ…ん…俺…」
どうやら両手を添えてペニスを咥えながら自分を見上げる桐山の表情がツボに入ったらしい。
思わずイキそうになるのを充は何とか堪えた。
「充、イッても構わないよ」
舌先で裏筋をチロチロ舐めながら、桐山は充をじーっと見つめた。
「だからっ…その表情がクルんだって…ダメ、我慢出来ないっ！」
充は桐山の頭を両手で鷲掴みにすると、自分の方へ引き寄せる。
充の絶頂が近いのを感じ、桐山は再び充のペニスを口に咥えた。
「あっ、出るよ…飲んで、全部飲んで！」
桐山の頭を掴む充の手に力が込められる。
「あ…あ、あっ…ああイクッ…！ あ、イっちゃう…！」
充の叫びと共にペニスがビクビクビクッ！ と痙攣し、白濁色の液体が桐山の口内を満たしていった。
「んっく…んぅ…」
口いっぱいに放たれた精液を、桐山は全て受け止めノドの奥に流し込む。
射精が終わった後は、ペニスを下から上へと扱き上げて、尿道に残った精液も全部キレイに舐め取った。
「ボス…ごめんな。『全部飲んで』なんて言っちゃって…俺、夢中で…」
「充が謝る事はないよ」
桐山は立て膝で充の両足を跨ぐと、そっと充の首に両手を回した。
「最初から全部飲むつもりだったから気にするな」
「ボス…」
充は安心したような表情になり、桐山の細い腰を抱き寄せる。
「今度はこっちのお口で全部飲んで貰いたいな」
「ぁんっ！」
桐山のズボンと下着を膝辺りまで擦り下ろすと、充は桐山の秘部にツプッと人差し指を挿入した。
「あれ？ まだココは何もしてないのに、何でこんな解れてんだ？」
「み、充…止め…」
充にヌプヌプと指を抜き差しされ、桐山は充の服をギュッと掴む。
「もしかして…俺の舐めてる間に自分でしてた？」
「し…して…た…から…もう…」
「そっか〜、自分でしてたんだ〜。ボスのエッチv 自分で準備しちゃうくらいエッチなら、自分で挿れてもらおうかな？」
充は桐山から手を離すと、脱ぎかけになっていたズボンと下着を靴と一緒に脱ぎ捨てた。
「ね？ 自分で挿れられるよね？」
下半身に身に付けている物は靴下だけとなった充は、既に回復して天を仰いでいるペニスを桐山に見せつけるように
足を少し開いた。
桐山は何の躊躇いもなく、充の目の前で靴下だけ残し、靴とズボンと下着を脱いで下半身丸出しの状態になる。
先程と同じように立て膝で充の両足を跨ぐと、自分で充のペニスの先端を秘部に当てがった。
「ん…あっあ…」
ゆっくりと腰を下ろし、充のペニスを飲み込んでいく。
自分で十分に解してあった所為か、根元まで挿入するのにそう時間はかからなかった。
「充…全部入ったよ」
そう言って桐山は立て膝を止めて、まるでコアラのように充に抱きついた。
「うん…俺のちゃんとボスん中に入ってるよ…すごいあったかい」
充は桐山の頭をそっと撫でると、ゆっくり腰を動かし始めた。
「はぁん…や…アッ…」
下から突き上げられ、桐山の体が軽く跳ね上がる。
「ボス…気持ちいい？ 気持ちいいの？ ボスん中、すごいきゅうきゅうに締まってるよ？」
「んっ…みつ…ぅ…あ…」
桐山は言葉にならない声を発しながら充を見つめた。
ハァハァと荒い息を吐きながら、潤んだ瞳でじっとこちらを見ている。
「気持ちいいんだね…いいよ、もっと…もっといっぱい感じて…俺をいっぱい感じて…」
体を揺する様に動くと、桐山は小さな悲鳴をあげた。
どちらからともなく口付けて、二人で固く抱き合った。
お互いを求め合うように激しく舌を絡ませ、同じリズムで腰を動かす。
唇を離した時には、先程まで潤んでいた桐山の瞳から涙が一筋零れ落ちていた。
充はその涙を唇でそっと拭ってあげた。
「好き…ボス…ん…大好きだよ…」
桐山は返事をしなかったが、代わりに充の胸に顔を埋め、その背に回されている手にギュッと力が込められた。
桐山のその行動を返事代わりと解釈した充は、桐山の体を両手で優しく包み込むように抱き締め直した。
「一緒にイコうな…俺、そろそろ…」
そう言って、達する為に腰を激しく動かし始める。
桐山も、二人で同時に達するべく充の動きに合わせて自分の腰を動かした。
「ボスゥ…もう…あぁぁっ！ ヤバ…いっちゃ…うっ…い、一緒に…っ！ あ…ああぁぁぁっ!!!」
「充…うっう…うぅ…俺も…イク、あ、あーー！」
充が桐山の体内に白濁色の液体をたっぷりと注ぎ込むと同時に、桐山もまた先端の切れ込みから大量の熱を放った。
二人共ブルブルと震えながら固く抱き合う。
「ハァ、ハァ、ハァ…」
「みつ…る……………好き …」
桐山の言った『好き』という言葉はあまりに小さ過ぎて充の耳には届かなかったが、口に出して言えた事に桐山の心は
満足感でいっぱいになっていた。
そして、落ち着きを取り戻した充から額にたくさんのキスを貰い、桐山は幸せそうな表情でそれを受け止めていた。
後始末を終えた後、二人は先程セックスした場所から少し離れた所に腰を下ろしていた。
ビニールシートは二人の精液で汚れてしまった為、直接コンクリートの床に腰を下ろしているのでおしりが冷たかったが、
二人で充のコートを肩に羽織って、ピッタリと寄り添い暖を取っている。
「姫初め…しちゃったな」
「姫初め？」
「新年を迎えて初エッチする事だよ」
「そうか」
「ボスと姫初めしたかったから、すげー嬉しい」
「…充がそんなに嬉しいなら、俺も嬉しいかもしれない」
「洋服に精液べったりついちゃって、後始末ちょっと大変だったけどな」
充は苦笑しつつ空を見上げた。
「あ…ボス、見て！ 日の出だよ!!」
「あぁ」
二人はそのまましばらく太陽が昇っていくのを見つめていた。
「充…改めて、明けましておめでとう」
「明けましておめでとう、ボス」
「今年もよろしく。充…」
桐山の方から口付けられ、充は驚いたように目を見開いたが、すぐに目を閉じて桐山の唇の感触を味わった。
口付けを交わす二人を、新年の朝日が優しく照らしていた。
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冬コミ新刊の沼桐本「White Key」の前書きで年越しネタ書きたい、って書いたんですが、ネタを考えている内に
沼桐と桐沼の両方で思いついたので、どうせなら対になるように両方書いてしまえ！ という事で両方書いてみました。
ウチのサイト、沼桐沼とか言ってる割に桐沼作品がなかったので、先に桐沼編を書いてからこっちを先に書いたんですが、
対になるように書こうとしたのと、桐沼編で半分力尽きかけてた為、珍しく沼桐で難産だった作品です。
でも、充とボスのラブラブ度はこっちの方が上だね（苦笑）
こっちの方は二人共二回イッてるし（桐沼編は充二回、ボス一回なのです）。
沼桐編：エッチに手馴れたバカップル、桐沼編：まだ初々しさが残る（？）カップルっぽい仕上がりかも。
こっちの充も、最初は初日の出見た後自分の部屋かラブホテルでゆっくり姫初め、と考えてたみたいです。
ボスも外でするつもりで迫った（？）訳じゃないけど、二人ともキスしてる内にムラムラしちゃったようで（苦笑）
最後は夢中だったから、対面座位で抱き合ったままイッたらボスの精液で二人の服が汚れる事に気付かなかったようです。
読者さんからしたら、今回の沼桐編と桐沼編、どっちが好みなのかなぁ…