Sweet Valentine's Day〜桐沼ver.



バレンタインを目前にして、充は悩んでいた。
「やっぱりチョコあげないと、ボス怒るかなぁ…でも、俺男だし…」
充は、いくら自分が桐山の事を好きでも、バレンタインにチョコをあげるのは男としてのプライドが許さなくて悩んでいたのだった。
「だからって、バレンタインに何もしないのもなぁ…ボス、ちょっと気にしてたみたいだし。あんな女がいっぱいいるトコにチョコなんて買いに行きたくねぇよ。一個も貰えないのが淋しいから、見栄で買いに来てるのかと思われんのも嫌だし…」
大きく溜息をつきながら、目の前にあった雑誌を何となくパラパラと捲る。
バレンタインの特集が載っているページが目に入った。
「何で男の俺がバレンタインの事でこんなに悩まなきゃいけないんだよ…ったく。ん?」
有名チョコレート店の商品の紹介のページを流し読みする充の目に、ある物が止まった。
「あ…これなら、何とかなるかも」
充はそのページをじっくりと読み、急にバレンタインが楽しみになったのか、暗かった表情が笑顔に変わった。

「ボス、今日俺ん家に来て欲しいんだけど…」
その日最後の授業が終わり、鞄の中に教科書をしまっている桐山に、充は声をかけた。
「今日はこの後の予定は何もないから構わない」
「ホント? じゃ、早く帰ろう」
妙にニコニコしている充を不思議に思いながらも、鞄に荷物をしまい終わった桐山は、充と共に下校した。
家に着くと、充は鍵を開けて中に入る。
「充、今日は御両親はいないのかい?」
「いないよ。バレンタインだから二人でゆっくりしたいって旅行に行っちゃったよ。あいつらいい年してラブラブし過ぎだよなー。
まぁ、いない方が俺も気楽でいいけど。あ、ボス、早く上がって」
「それではお邪魔します」
「今日は部屋じゃなくて、先に台所に来て欲しいんだ」
玄関の鍵を閉めながら充が言う。
「台所?」
「うん、ボスに飲んで欲しい物があるんだ」
充は桐山を台所に連れて行き椅子に座らせ、自分はもう一つの椅子にかけてあった赤くて飾り気のない、
シンプルなエプロンを手に取った。
「今から用意するから、ちょっと待ってて」
エプロンを身に付け、充は冷蔵庫から牛乳を取り出す。
ミルクパンに牛乳を注いでコンロに火をかけると、棚の中から何かの袋を取り出した。
その袋に『チョコレートドリンク』と書かれているのが目に入り、桐山は全てを理解した。
充は温まってきた牛乳の中に、袋の中のチョコレートの粉末を適量入れると、泡立て器で軽く掻き混ぜ始める。
チョコレートの粉末が完全に牛乳に溶け、台所中にチョコレートのいい匂いが広がる。
ミルクパンの中身が、飲むには少し熱いくらいに温まると、充はコンロの火を消してカップを二つ用意した。
そのカップにミルクパンの中身を注ぐと、冷蔵庫を開けて今度は既に泡立ててある生クリームが入ったボールを取り出した。
生クリームをホットチョコレートの上に浮かべ、満足いく仕上がりになったのか充はニコッと笑った。
「ボス、お待たせ」
充はカップを桐山の前に差し出す。
「ホットチョコレートだよ。俺からのバレンタインチョコの代わりに、ボスに飲んで欲しいんだ」
「そうか…では、いただきます」
桐山はカップを手に取ると、それをゆっくりと口に運ぶ。
「どう? ボス、美味しい?」
不安そうな顔で桐山の顔を覗き込む充。
「美味しいよ。充、ありがとう」
「どういたしまして。ボスの口に合って良かった」
安心したのか、充も椅子に腰を下ろしてカップを口に運ぶ。
「あ、ホントだ! ちゃんと作ったホットチョコレートって美味しいな。あの本に感謝しなきゃ」
「あの本?」
「おふくろがいつも買ってくる、生活関係の雑誌だよ。それにこのホットチョコレートの作り方が載ってたんだ」
「そうか…」
「俺…やっぱ男だから、チョコ買いに行くのもあげるのも抵抗あって…でもバレンタインはボスに何かしてあげたいって
考えてたんだ。これなら俺でも作れるし、抵抗なかったから。ちゃんとしたチョコじゃなくてごめんな」
「いや、これで十分だよ。いろいろ考えさせたみたいですまないな」
「ううん、俺が勝手に考えてただけだし…あ、せっかくだから温かい内に飲んでよ」
「そうだな」
桐山が再びカップを口に運ぶのを見て、充も残りのホットチョコレートを飲んだ。
「ごちそうさま。とても美味しかったよ」
「どういたしまして。それじゃ、さっさと洗い物済ましちまおうかな」
充は空いた二つのカップを持って再び台所に立った。
スポンジに洗剤をつけて、お湯につけておいたミルクパンを洗い始める。
チョコがこびり付いたミルクパンを必死にスポンジで擦り、使用前のキレイな状態にする。
今度は泡立て器を洗おうと充が手を伸ばした瞬間、充の体は後ろから桐山に抱き締められていた。
「ボ、ボス!?」
「………」
桐山は無言のまま、充の耳に軽く口付けた。
「あ、あのさ…エッチは洗い物が終わってから俺の部屋でしよ?」
「今したい」
「今って…ここ台所…あっ」
桐山の手が充のシャツの中に滑り込み胸を弄った事で、充の言葉は中断された。
「笹川が、彼女のエプロン姿にムラムラして台所でセックスしてしまったと言っていたが、その気持ちが今分かったような気がする」
「竜平…ボスに何て事言っ…んん…」
胸を弄っていた桐山の手が下腹部に下りてきて、充は体を硬直させる。
「ボス、ダメだってば…」
桐山は充の制止も聞かず、ズボンのファスナーを下ろすと、そこから下着の中へ手を入れた。
「どうしたんだ、充。あまり元気がないようだが」
充のペニスが半勃ちなのに疑問を感じた桐山が尋ねる。
「だって…こんなトコでなんて、俺まだその気になってないもん」
「そうなのか? 俺は充のエプロン姿を見た時から、こんなになってしまっている」
「あ…ボス…」
充のおしりにぐりぐりと押し付けられた桐山の股間は固くなっており、熱を持っていた。
充がどうしたらいいか分からずオロオロしている隙を突いて、桐山は充のズボンに手をかけると下着ごと膝辺りまでずり下ろした。
「わっ! ちょ、ちょっと待って! 部屋に行ったらいっぱいしてもいいから、ここじゃカンベンして!」
「そこまで言うなら…」
桐山は充の足を持ち上げ、ズボンと下着を完全に脱がせると、それを持って椅子に腰を下ろした。
「ボス! ズボンとパンツ返してくれよ!」
「どうせ後で脱ぐのだから構わないだろう?」
「こんなカッコ、恥ずかしいよ…」
「なら、さっさと洗い物を済ませればいい」
「…分かったよ」
どうやら拒んだ事で桐山の機嫌を損ねたらしい。
充は恥ずかしいのを我慢して洗い物を再開した。
しかし、シャツの長さが中途ハンパでおしりが半分見えてしまっているのが気になるのか、充はチラチラと後ろを振り返る。
桐山は何も言わず、充をじーっと見つめていた。
恥ずかしさのあまり、体中がカーッと熱くなるのを充は感じていた。

俺、何やってんだろう…
こんな、下半身丸出しで台所に立って。
すごい恥ずかしいのに、俺…
チ×ポ勃っちゃってる。
俺、変態なのかなぁ…
ボスの視線がおしりに刺さってるみたいで、余計変な感じがする…

こんな状況で勃起してしまった自分に恥じながらも、さっさと洗い物を済ませようと手を早めた。
しばらくして、通常の半分くらいの時間で洗い物を終わらせた充は大きく溜息をついた。
やっとこの恥ずかしさから解放される。
そう思った時、
「洗い物、終わったのかい?」
気が付くと桐山が自分の真後ろに立っており、いきなり声をかけられ思わず硬直してしまう。
充が黙ったままでいると、桐山は先程と同じように後ろから充の体を抱き締めてきた。
今度は充は抵抗しなかった。
「その気になったみたいだな」
桐山に耳元でそう囁かれた瞬間、充は体中に電気が走ったような衝撃を感じ、ゾクゾクしてしまう。
桐山はそのまま充の耳をなぞるようにそっと唇を這わせた。
「あっ…あぁぁ…あーっ…」
耳を甘噛みされたり、耳の穴を擽るように舌で愛撫され、充は切なげな声をあげた。
充を抱き締めていた両手が胸元に移動し、シャツの上から胸の突起に触れる。
両方の突起を摘んでキュキュッと捻ると、充は体をビクビク震わせた。
しばらく突起を弄り続けていると、充の体から力が抜けていき、ぐったりと桐山に寄りかかってくる。
桐山は左手で胸の突起を弄りつつ充の体を支えると、右手を充の下腹部へと伸ばした。
そして、先程とはうって変わってすっかり固く体積を増し、透明な粘着質の涙を流しながら桐山の愛撫を今か今かと待っている
充のペニスをエプロンの上から握った。
「や、ボス…どうして…」
「何だ?」
「どうして…直接触ってくれないの?」
「いつもと同じではつまらないだろう」
「で、でも…んんっ…」
桐山の手がエプロンごと充のペニスを扱き始めると、いつもとは違ったその感触に、充は体を捩らせ悶えてしまう。
剥き出しになった敏感な先端部分に布が擦れる度に、充は悲鳴のような喘ぎ声を上げた。
ペニスの先端が当たっている部分の布に、少しずつ濡れ染みが浮き出てくる。
「ボスゥ…これ以上したら出ちゃう…」
「出してもいいぞ」
「でもっ…このままじゃエプロンが…う…」
「汚れたら洗えばいいだろう?」
充の限界が近いのを感じた桐山は、充のペニスを扱く手を早めた。
「ダメ…ホントに出ちゃ…ぅん…あ…あああーっ!!」
充はビクン、ビクンと痙攣しながら絶頂に達した。
エプロンの濡れ染みが急激に大きくなっていき、プク、とエプロンの下から白い液体が滲み出てきた。
桐山がそれを指で掬うと、達したばかりの充にはそれさえも刺激になってしまうのか、またビクビクと体を震わせる。
白く濡れた指を口に咥えて充の味を堪能していると、立っているのが辛くなったのか、充はその場にペタンと座り込んだ。
指についた充の精液をキレイに舐め取ると、桐山は自分でズボンと下着を脱いだ。
「充、俺にもしてくれないか」
ハァハァと荒く息を吐いている充に声をかけ、充が振り向いた瞬間目の前にいきり立ったペニスを突き付けた。
「あ…」
充は赤面しながらも、桐山のペニスに恐る恐る手を伸ばすと、舌を出してペロペロと舐め始めた。
目に涙を滲ませ、顔を真っ赤にしながら一生懸命自分のペニスに奉仕する充を見ていると、桐山はこめかみが疼き
体が熱くなってくるのを感じた。
充の頭を両手で掴み、腰をゆっくりと前後に動かすと充の口から苦しそうな呻きが漏れる。
気にせずそのまま腰を動かして、桐山は充の口内に大量の熱を放った。
「んぐぅっ! んっ…ケホッ…」
充はむせながらも、何とか桐山の放った精液を喉の奥に押し込んでいく。
しかし、飲みきれなかった精液が口の端をツツーッと伝って台所の床に滴り落ちた。
桐山はしゃがんで、充の口の端の汚れた部分を舌で拭ってあげた。
そのまま二人は舌を絡み合わせ、何度も深く口付ける。
「充、立てるか?」
唇を離した後桐山が尋ねると、充はコクンと頷いた。
充を立たせる前に、充にバンザイさせてシャツを脱がし、エプロンしか身に纏っていない状態にする。
充は立ち上がると、台所に両手をついて桐山に背を向けた。
桐山は露になった充の背中に軽く唇で触れた。
そのまま背骨に沿って唇を動かすと、充の口から吐息が漏れる。
背中を愛撫しながら、桐山は充の秘部にそっと指を挿入した。
「あぁーん…あぅ…ハァ…」
桐山の白くて細い指が、充の秘部を少しずつ解していく。
「充、そろそろいいかな…」
耐えられなくなってきたのか、桐山が息を荒くしながら充に尋ねた。
「うん…いいよ。ボス、来て…」
桐山は充の中から指を抜くと、代わりにすっかり回復した自分のペニスをゆっくりと押し込んでいった。
「アァ…入ってくるぅ…」
ズプズプと自分の中に侵入してくる桐山のペニスの熱を感じ、充は歓喜の声をあげた。
「充、すまない」
「どうしたの? ボス」
「何だか今俺は、酷く興奮しているんだ。あまり優しく出来ないかもしれない」
「え、それって…ひぁっ!?」
充の言葉を待たずに、桐山自身は激しく充の中に出入りし始めた。
あまりの事に立っているのがやっとな充は、台所についている両手に力を込める。
パンッ、パンッ、パンッ、パンッと桐山が充のおしりに腰を打ちつける音が一定のリズムで響き渡る。
「うぁっ! ちょ、ボスッ…激し過ぎ…」
充は哀願したが、桐山の腰の動きは落ち着きを見せるどころか、更にスピードを増していった。
「いやぁ…そんなしたら、おしり…ヘンになっちゃうよぉっ!!」
今までないくらいの激しさに、充は戸惑っていた。
しかし、桐山がピストン運動を繰り返している内に、充の体がその動きに馴染んできたのか、少しずつだが桐山の動きに合わせて充の腰が動き始める。
「すごぉい…何かおしりも頭ん中も…ふっ…んん…グチャグチャになりそ…」
足がガクガク震え、限界が近いのか充のペニスの先端の切れ込みが半開きになる。
「充…俺ももう…」
「あ…中ヤダ…出しちゃヤダ…」
「なら充が先にイケ」
桐山は充の腰を両手で掴み、中を掻き回すように腰を動かした。
「あぁぁぁ…ダメ、いっちゃう…いっちゃうよぉぉぉ…んーーー!!」
充は台所に体を凭れさせながら、大量の精液を放った。
「くっ!」
締めつけてくる充の肉壁の中からムリヤリペニスを引き抜くと、桐山は小刻みに震えている充のおしり目掛けて精を放った。
「あっ、あっ…おしりに…」
おしりに生暖かい精液が降り注ぐのを感じ、充は鼻息を荒くした。
「俺のおしり…ボスにセーエキ塗れにされちゃった…」
自分のおしりにかけられた桐山の精液を指で拭いながら、充はウットリとした表情になっていた。

「あー…エプロン精液塗れでグチャグチャだよ」
事が終わり、我に返った充は汚れたエプロンを目の前にして途方に暮れていた。
「どうしよう…」
「汚れたのなら洗えばいいと言っただろう?」
桐山は充の手からエプロンを奪い取ると、その辺にポイ、と放り投げた。
「大体ボスがあんな…えっ!?」
反論しようとした充は、何故か桐山に床に押し倒され、状況が把握出来ずオロオロしている。
「いつもと違った場所でセックスすると興奮するというのは、本当だったんだな」
「ボス、まさかまた…」
「今日はあれだけで終わらせるつもりではないだろう?」
「そうだけど、今したばっかり…って、ボス! 何でもうそんなになっちゃってるのさ!」
何気なく桐山の股間に視線を移すと、そこは再び戦闘態勢に入っていた。
「言っただろう? 今日は酷く興奮していると」
「でも、待っ…んん…」
桐山の唇で自分の唇を塞がれ、充は何も言えなくされてしまう。
桐山は、ホットチョコレートよりも充の味をたっぷりと堪能したのだった。

それからしばらくの間、台所に来る度に充はバレンタインの時の事を思い出し、まともにご飯が食べられなかったという…

+ + + + + +

何か…裸エプロンの意味があんまりないような気もするなぁ(汗)
「ナニをエプロンで包んで、それを扱く」っていうのがすごく書きたかったんで、その為だけでも裸エプロンにした意味あるかな?
私が桐沼書くと、ただヤッてるだけって感じになるのがちょっと悲しい(泣)
沼桐はあんなにラブラブに書けるのになぁ。
しかも、年越しネタと同じ体位だし…でも、台所エッチはやっぱ立ちバックだよねぇ。
ちなみに、ウチの受充はわんこだからバックで犯されるのが好きです(笑)
わんこだけど、バレンタインに男がチョコあげるのはプライドが許さない! と思ってる漢気溢れる人だったり。
私、充がボスに「ボス、大好きです!」と言いつつチョコをあげてるネタって正直好きじゃないんですよ。
そこまで女々しいキャラじゃないと思っているので(そういうネタ書いてる方、ごめんなさい)
今年はチョコレートドリンクが流行ってるみたいで、それを見て「これなら充がボスにあげても違和感感じない」と思って
今回のネタを思いついたのです。
今回の話を読み返して、この話の充になりたい! と思ってしまいました(苦笑)
だって、ボスにこんなにしてもらえるなら…ねぇ?



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